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この巻も、山本勘介の活躍、謙信との川中島の合戦、
信長や家康との駆け引き、長女の黄梅院のための安産祈願など、
興味深い話が多いですが、やはりどこまでが史実か創作か注意して
読む事も必要な気がしました。
特にあまりにも有名な信玄の遺言については。
この、信玄が葬式はせずに自分の遺体は三年後の亥年の四月十二日に、
諏訪湖に甲冑を着せて沈めてくれという遺言が、信玄の最愛の女性は
諏訪御料人だったという説の根拠になっているようですね。
しかし、上野晴朗氏が「定本 武田勝頼 新人物往来社」で
書いているように、これは作者の高坂弾正が、
信玄の諏訪明神への信仰の強さを表すために創作したという説に私は
賛成しています。上野氏は、ようするに高坂弾正は、
この遺言によって、
信玄は諏訪湖に身を沈めて、ついには自ら龍神となって甲斐国を守ろうと
したという事にしたくて、この信玄の葬式はせずに自分の遺体は
甲冑を着たまま諏訪湖に沈めてくれという遺言を創作したという意見
のようです。私もこの諏訪湖というのは諏訪御料人ではなくて、
諏訪明神を意味しているような気がします。