スクルージは守銭奴というより、心に傷を抱えながら、懸命に世間と戦い、いつしか損得しか信じなくなってしまった企業家といったほうがぴったりだ。そんな男が精霊の導きで、幼い自分や青春時代の自分を思い出し、少しずつ人間らしい暖かい心を取り戻していく。その暖かさの象徴は暖炉を囲んだ食事であり、家族だ。本書は子供より大人に読んでほしい。大人たちは多かれ少なかれ、スクルージであると思うから。
本レビューを書いているのは11月中旬。季節柄か本書の新装版の広告が新聞や電車内に載っている。本書の内容は有名すぎて説明の要は無いだろう。本書を読んで、単なる絵空事だと思う人もいるだろうし、感動を覚える人もいるだろう。それは読んだ人の心の在り方に依る所が大きいのは勿論だが、その時々の家族・友人関係、社会情勢に影響される面も相当あるのではと最近思い始めた。
|
このページの情報は 2006年12月25日16時43分 時点のものです。 |