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第一巻の「ずっこけ」の冒頭、高座に上がった瞬間に家元が倒れるというギャグを披露する。まるで、ビートたけしだ。これは、家元の病気が発表されてからのことで、盛んに「声が出ない」といいながら、必死で高座をつとめている。
「佐平次」は、「談志独り占め」で66分の熱演があるが、こちらは実質スタジオ録画だから、ライブ版としては、、これが最高だろう。
第2巻の「代書屋」「つるつる」は、演じながら解説をいれるという方法をとっているが、そうしないと通じないということか?
第3巻の「芝浜」は、古今亭志ん朝や柳家小三治型の押さえた演出でなく、まさに人間の業を正面から取り上げた熱演で、熱くなる。
第4巻の「松曳き」「野ざらし」は、特に後者について、下げを工夫した完全版を期待したい。
第5巻の「子ほめ」「粗忽長屋」。前者は居間に通じない話を旨く処置しているのはさすがだ。後者は、かつて「主観長屋」と題して演じていたものを少し、もどしてマイルドにしているが、なお、試行錯誤を繰り返されることを期待したい。
「声が出ない」となる前に始めてほしかった。
追伸・・・唯一の不満は、まくらの部分の一部が、明らかに編集してカットされていることだ。これは、ひょっとして家元のことだから強烈な発売に耐えない過激な発言があったためかもしれないが、そういう小細工はしてほしくなかったなあ。そこだけが不満だ。
追伸2・・・11月13日記したが、誤って、このシリーズの第一巻の方にレビューを書いてしまいました。5巻まとめて書くつもりだったのですが。すいません。
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落語の噺には日本人の機微が詰まっている。知らないまま通り過ぎるなんてもったい。人間国宝の小さんやサラブレッドの志ん朝の亡き今、談志はかず少ない「本物」だ。
立川談志はとっつきづらい印象があると思う。過激な発言で有名だし、「わかるやつだけついて来い」という雰囲気をかもし出している。しかし、高座での談志はいたって謙虚だ。来てくれた客に誠心誠意を尽くしつつ、真剣勝負を挑む。「談志あっての客だ」は思い上がりの発言ではない。
私は落語が好きだ。大好きだ。しかし、マニアではない。有名な噺をいくつか知っている程度。こんな私でも取り込んでくれる懐の深さが、落語にはある。談志も然りである。
本当は生まで見るのが一番。機会があったら是非独演会へ足を運んでほしい。しかし、チケットを取るのは非常に大変。せめて、このDVDで堪能したい。